仕事のリアル
2026年09月07日 公開 ・ 看護

看護師の離職率は11.0%。「みんな辞めてる」は本当か

田村みなみ
田村みなみ
介護・保育・看護のリアル担当
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この記事の内容

  1. 全国の数字は11.0%
  2. 新卒の離職率は8.4%まで下がっている
  3. それでも「みんな辞めてる」と感じる理由
  4. そもそも「離職率」は何を数えているのか
  5. 自分の判断材料に変えるには
  6. 辞める前に、職場の中で試せること
  7. 看護師資格が効くのは、病棟だけではない

「うちの病棟、今年も何人も辞めた」。看護の現場で聞く言葉です。 ただ、これが業界全体の話なのか、その職場だけの話なのかは、 感覚だけでは切り分けられません。まず全国の数字を見ます。

全国の数字は11.0%

日本看護協会が実施している「病院看護実態調査」の2025年の結果によると、 正規雇用看護職員の離職率は11.0%で、前年度からわずかに低下しました。 前年の調査では11.3%でしたので、大きく悪化しているわけではありません。

11.0%という数字は、単純に言えば「約9人に1人が1年間で職場を離れる」水準です。 決して低くはありませんが、「大半が辞めていく職業」ではありません。

新卒の離職率は8.4%まで下がっている

同じ調査で、新卒採用看護職員の離職率は8.4%。前年比0.4ポイントの低下です。

参考までに、大学新卒者全体の3年以内離職率は33.8%(厚生労働省)です。 集計期間が違うため単純比較はできませんが、 少なくとも「看護は他業種と比べて突出して1年目が離職しやすい」という状態ではありません。

区分離職率出典
正規雇用看護職員11.0%日本看護協会 2025年病院看護実態調査
新卒採用看護職員8.4%同上
介護職員13.1%介護労働実態調査(2023年度)

それでも「みんな辞めてる」と感じる理由

数字と感覚がずれるのには理由があります。

1. 離職は職場ごとに偏る

11.0%は全国平均です。人員体制や夜勤の負担、教育体制の有無によって、 職場ごとの実際の離職率は平均から大きく上下します。 「自分の周りでは多い」という体感は、正しく自分の職場を表している可能性があります。 つまり比べるべきは、業界平均ではなく平均と自分の職場の差です。

2. 辞める人は目立ち、残る人は目立たない

退職は出来事として記憶に残りますが、勤続は日常なので記憶に残りません。 印象の総量では、離職のほうが実際の比率より大きく感じられます。

3. 同期・同世代に偏って起きる

同じ時期に入った人が同じ時期に悩むため、身近な範囲では一斉に動くように見えます。

そもそも「離職率」は何を数えているのか

数字を判断材料にするなら、その数字が何を数えたものかを知っておく必要があります。 病院看護実態調査の離職率は、おおまかに言えば 1年間の退職者数 ÷ 年度初めの在籍者数です。 ここから、いくつか読み方の注意が出てきます。

つまり、11.0%という数字は「9人に1人が限界を迎えている」という意味ではありません。 そう読むと実態より暗く見えますし、逆に 「自分の病棟の体感が全国平均と違う」ことを軽く扱う理由にもなりません。 全国平均は物差しであって、自分の職場の評価そのものではないという距離感が適切です。

自分の判断材料に変えるには

全国平均を知る意味は、「安心するため」ではなく「自分の職場を評価する物差しを持つため」です。 次の3点を確認すると、感覚が判断材料に変わります。

3つ目が特に重要です。離職率そのものより、 「抜けた分が補充されないまま回している職場かどうか」が、これからの働きやすさを左右します。

POINT

辞めるかどうかを決める前に、「この職場は平均より離職が多いのか」「欠員は埋まるのか」を 自分の手で概算してみる。それだけで、感情ではなく状況で判断できるようになります。

辞める前に、職場の中で試せること

概算してみて「うちは平均より明らかに多い」となった場合でも、 いきなり退職以外に手段がないわけではありません。 病院という組織は規模が大きいぶん、内部に選択肢が残っていることがあります。

これらを試したうえで変わらないなら、そのときは職場を変える判断に自信が持てます。 「やれることはやった」と言える状態は、次の面接での説明もしやすくなります。

看護師資格が効くのは、病棟だけではない

「看護を続けたいが、今の働き方は続けられない」という場合、 資格を活かしたまま環境を変える選択肢があります。 それぞれ求められるものが違うので、負担の質で選ぶことになります。

働く場所特徴夜勤
クリニック・診療所外来中心。日勤のみのことが多い基本なし
訪問看護1対1でじっくり関わる。オンコール対応がある事業所が多いオンコール
介護施設(特養・老健など)医療処置は限定的。生活支援の比重が高い施設による
保育園・企業の医務室健康管理が中心。募集数は少ないなし
治験関連(CRCなど)医療知識を使う事務・調整業務。土日休みが多いなし
コールセンター・相談員電話での医療相談・受診案内。身体的負担が小さいシフトによる

注意点として、病棟を離れると急性期の臨床スキルは落ちます。 将来的に病棟へ戻る可能性を残したいなら、 ブランクが長くなりすぎない範囲で考えたほうが選択肢は広く保てます。 逆に「もう病棟には戻らない」と決めているなら、この制約は気にしなくて構いません。

それぞれの求人をどこで探すかは、 介護・保育・看護の仕事の探し方に整理しています。

本記事の数値は、日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」および 介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」、 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」の公表内容に基づいています。

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