仕事のリアル
2026年09月07日 公開 ・ 保育

保育士の離職率は9.3%。公立と私立で4.5ポイント違う

田村みなみ
田村みなみ
介護・保育・看護のリアル担当
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この記事の内容

  1. 常勤保育士の離職率は9.3%
  2. 公立6.3%、私立10.8%
  3. では、なぜ「すぐ辞める」と言われるのか
  4. 園を変える前に見ておく3点
  5. 「給料が上がらない」は、制度を知らないだけの場合がある
  6. 見学で見るべきなのは、設備ではない
  7. 保育士資格が使えるのは、認可保育園だけではない
  8. まとめ

「保育士はすぐ辞める」。よく言われますが、全国の数字を見ると印象とは少し違います。 そして、その数字の中には公立と私立で4.5ポイントの差という、 職場選びに直結する情報が含まれています。

常勤保育士の離職率は9.3%

厚生労働省が公表している「保育士の現状と主な取組」によると、 常勤保育士の離職率は9.3%(2017年時点)でした。 同時期の全産業の常勤労働者の離職率は約15%とされており、 むしろ保育士のほうが低い水準です。

1年目に限って見ても、全産業の12.7%に対し、保育士は8.0%。 「入ってすぐ辞める職業」というイメージとは逆の数字が出ています。

注意

この数値は2017年時点の集計です。処遇改善加算の拡充など、 その後の制度変更を反映していない点は割り引いて読む必要があります。

公立6.3%、私立10.8%

同じ調査の中で、設置主体別の数字が出ています。

区分常勤保育士の離職率
公立の保育所6.3%
私立の保育所10.8%
全体9.3%

出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(2017年時点の集計)

公立と私立で4.5ポイントの差があります。 公立は自治体職員としての雇用で給与体系や勤続の仕組みが安定していること、 私立は法人ごとに運営方針・人員配置・行事の量が大きく異なることが背景として考えられます。

ここから言えるのは、「保育士だから離職率が高い」のではなく、 「どの園か」で相当変わるということです。 辞めたい理由が業務そのものではなく園の運営方針にあるなら、 職種を変える前に園を変えるという選択肢が先に来ます。

では、なぜ「すぐ辞める」と言われるのか

1. 有効求人倍率の高さと混同されている

保育士は慢性的に人手が足りない職種です。 求人が多い=人が足りない=辞めている、と連想されやすいのですが、 需要の大きさと離職率は別の指標です。 施設数の増加によって必要人数自体が増えている影響もあります。

2. 潜在保育士の存在

資格を持ちながら保育士として働いていない、いわゆる潜在保育士が多いことも、 「辞めた人が多い職種」という印象につながっています。 ただしこれは在職者の離職率とは別の話で、 資格取得後に一度も就業していない人も含まれます。

3. 園ごとの差が体感を作る

公立6.3%・私立10.8%という平均の裏には、 ほとんど辞めない園と、毎年入れ替わる園の両方があります。 自分の園が後者なら、体感としては「みんな辞めている」で正しい。 比べるべきは全国平均そのものではなく、平均と自分の園の差です。

園を変える前に見ておく3点

転職を考える場合、求人票の給与だけでは判断できません。次の3つを確認します。

  1. クラス担任の配置と補助の有無: 同じ人数の子どもでも、フリーの職員がいるかどうかで負担がまったく違います
  2. 行事の数と準備の持ち帰り: 持ち帰り仕事の量は、園によって最も差が出る部分です
  3. 直近3年の退職者数: 見学時に聞いて構いません。答えを渋る園は、その反応自体が情報になります

「給料が上がらない」は、制度を知らないだけの場合がある

辞めたい理由に給与が入っている場合、園を変える前に確認しておきたい制度があります。 2017年度から、保育士等キャリアアップ研修という仕組みが始まっており、 研修を修了して該当の役職に就くと、処遇改善につながる形になっています。

役職おおよその位置づけ
職務分野別リーダー乳児保育・障害児保育・食育など、分野ごとのリーダー
専門リーダー複数分野の研修を修了した、経験年数の長い保育士
副主任保育士マネジメント研修を含む。主任を補佐する立場

重要なのは、この仕組みが園を通して運用される点です。 研修の受講機会を職員に案内している園と、制度自体を周知していない園があります。 「うちの園では聞いたことがない」という場合、 制度が無いのではなく園が動いていない可能性があります。

まず自分の園で、キャリアアップ研修の受講案内が出ているかを確認してください。 出ていないなら、それは園を評価する材料の1つになります。

※処遇改善の加算額・要件は制度改正で変わります。詳細は内閣府・こども家庭庁および各自治体の最新資料をご確認ください。

見学で見るべきなのは、設備ではない

園見学に行くと、どうしても園舎の新しさや教具の充実に目が行きます。 ただ、働く側にとって効いてくるのは、そこではありません。次の4つを見てください。

聞いていい質問

「持ち帰りの仕事はどのくらいありますか」「休憩は何分取れていますか」 「配置基準に対して、実際は何名で回していますか」。 答えにくそうにされたら、その反応が答えです。聞くのは失礼ではありません。

保育士資格が使えるのは、認可保育園だけではない

「保育の仕事は続けたいが、今の働き方は続かない」という場合、 資格を活かせる場所は認可保育園以外にもあります。 規模と対象年齢で、負担のかかり方がかなり変わります。

働く場所特徴
小規模保育事業0〜2歳が中心で定員19人以下。行事が少なく、担当する人数も少ない
認定こども園保育と教育の両方。幼稚園教諭免許との併有が求められることがある
企業主導型保育企業の従業員向け。定員が小さく、行事が簡素なことが多い
院内保育・事業所内保育職員の子どもを預かる。夜勤がある施設もある
児童発達支援・放課後等デイ支援を必要とする子どもへの関わり。1対1の比重が高い
学童保育(放課後児童クラブ)小学生が対象。勤務は午後からが中心

特に、行事の準備と持ち帰りが辞めたい理由の中心にある場合、 小規模保育や企業主導型に移るだけで解消することがあります。 職種を変える前に、同じ資格で行ける場所を一通り見ておく価値はあります。

求人をどこで探すかは、 介護・保育・看護の仕事の探し方に整理しています。

まとめ

本記事の数値は厚生労働省「保育士の現状と主な取組」に基づいています(2017年時点の集計)。 最新の状況は各公表元でご確認ください。

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