「保育士はすぐ辞める」。よく言われますが、全国の数字を見ると印象とは少し違います。 そして、その数字の中には公立と私立で4.5ポイントの差という、 職場選びに直結する情報が含まれています。
厚生労働省が公表している「保育士の現状と主な取組」によると、 常勤保育士の離職率は9.3%(2017年時点)でした。 同時期の全産業の常勤労働者の離職率は約15%とされており、 むしろ保育士のほうが低い水準です。
1年目に限って見ても、全産業の12.7%に対し、保育士は8.0%。 「入ってすぐ辞める職業」というイメージとは逆の数字が出ています。
この数値は2017年時点の集計です。処遇改善加算の拡充など、 その後の制度変更を反映していない点は割り引いて読む必要があります。
同じ調査の中で、設置主体別の数字が出ています。
| 区分 | 常勤保育士の離職率 |
|---|---|
| 公立の保育所 | 6.3% |
| 私立の保育所 | 10.8% |
| 全体 | 9.3% |
出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(2017年時点の集計)
公立と私立で4.5ポイントの差があります。 公立は自治体職員としての雇用で給与体系や勤続の仕組みが安定していること、 私立は法人ごとに運営方針・人員配置・行事の量が大きく異なることが背景として考えられます。
ここから言えるのは、「保育士だから離職率が高い」のではなく、 「どの園か」で相当変わるということです。 辞めたい理由が業務そのものではなく園の運営方針にあるなら、 職種を変える前に園を変えるという選択肢が先に来ます。
保育士は慢性的に人手が足りない職種です。 求人が多い=人が足りない=辞めている、と連想されやすいのですが、 需要の大きさと離職率は別の指標です。 施設数の増加によって必要人数自体が増えている影響もあります。
資格を持ちながら保育士として働いていない、いわゆる潜在保育士が多いことも、 「辞めた人が多い職種」という印象につながっています。 ただしこれは在職者の離職率とは別の話で、 資格取得後に一度も就業していない人も含まれます。
公立6.3%・私立10.8%という平均の裏には、 ほとんど辞めない園と、毎年入れ替わる園の両方があります。 自分の園が後者なら、体感としては「みんな辞めている」で正しい。 比べるべきは全国平均そのものではなく、平均と自分の園の差です。
転職を考える場合、求人票の給与だけでは判断できません。次の3つを確認します。